万歳からのぞきからくりまで 狂言師が実演する放浪芸

オススメの放浪芸・演芸CD

放浪芸、演芸に関するCDというのは、本当に限られています。
最近でこそ少しは増えましたが、それでもまだまだ少なすぎる、
というのが僕の印象です。

現在手に入るCDで、1番放浪芸の事がよくわかるのは、
やはり小沢昭一の「ドキュメント日本の放浪芸」でしょう。


これは1971年にレコード6枚組で発売されたものを、
1999年にCD化して発売されたものです。
もちろんCD6枚組(笑)

このCDは副題が「小沢昭一が訪ねた道の芸・街の芸」となっていて、
万歳や祝言、舌耕芸などの、芸能の源流から学ぶ事ができます。
源流だけあって、正直なところ何を喋っているのか、
僕にもさっぱりわかりません(笑)
でもこの辺は、感覚でつかんでおけばいいのかなぁという気がします。
何となく、「あぁ、めでたそうやなぁ」とかね。
何だかよくわからない芸を聞きながら、当時に思いを馳せる、
というのも意外と面白いもんですよ。1度試してみてください。

僕が個人的に好きなのはこの第2弾、
「ドキュメント 又日本の放浪芸 小沢昭一が訪ねた渡世(てきや)芸術」です。


これには天王寺境内彼岸風景や、見世物小屋の呼び込みが収録されています。

僕は高校3年間と大学4年間は、通学に天王寺を経由していましたし、
大学時代は天王寺界隈でアルバイトをしていましたので、非常に親近感があります。
でもその頃には伝統的な境内風景は失われつつありまして、
例えば「薬草売り」なんかはもういませんでした。
家相診断はかろうじてありましたね。
あの怪しさがたまりません(笑)

第3弾は「ドキュメント また又日本の放浪芸 小沢昭一が訪ねた旅僧たちの説法」です。


これは1974年に発売されたレコード6枚組のCD化です。
まさに説教尽くし!正直聞いてる途中で寝ました!(笑)
でも昔の人はこんなのを普通に楽しんで聴いてたわけで、
そう考えると日本人の生活リズムと言うか、
スピード感覚というのは全然違うんですよね。
僕はこういう違いをしっかりと認識しないと、
ただ単に復活させても意味がないと思うんですよね。

説教節がお好きな方には、
民衆芸能 説経節集(8CD) ~「多摩の歴史・文化・自然環境」研究会編
というのも出てるみたいです。
僕は聞いた事はありませんが、
説教節がCD8枚!って驚きですね。

そして第4弾「ドキュメント まいど・・・日本の放浪芸
 小沢昭一が訪ねたオールA級 特出特別大興行-一条さゆり・桐かおるの世界」


1977年に発売された4枚組レコードのCD化です。
小沢昭一さんは多分これが1番好きなんだと思います(笑)
トクダシと言うのはストリップの事です。
僕は風俗のジャンルとしてストリップはほとんど興味ないんで、
実はこれはほとんど聞き流してます。
でも芸能の変遷を考えれば、ストリップも芸能の一分野である事は間違いないです。
一条さゆり世代のご年配の方にオススメです。

さて、まだまだオススメCDはありますよ。
「お笑い百貨事典」シリーズです。


これは日本のお笑いを時代別に編集してある、すごい企画です。
何がすごいかって、万歳から漫才、落語に民謡はやり唄まで、
ありとあらゆる笑いを集めてあるんです。
全10巻で、各巻2千円というのも嬉しいですね。

続いて川上音二郎です。
オッペケペーという言葉を聞いた事がありますか?
「甦るオッペケペー・1900年パリ万博の川上一座」


わかり易く言うと、ちんどんやの一座みたいなもんでしょうか。
CDには長唄や講談など色々なものが入ってます。
これって実は日本人初の録音物なんです。
この音源が発見された時(僕が高校生の時でした)、
夕方のニュースで取り上げられていたのを、今でも鮮明に覚えています。
日本人初の録音物がオッペケペー。
…なんかその事実だけでも十分笑えます(笑)

そして最後はやっぱり砂川捨丸の、
「萬歳の至芸」です。
これはインデイーズなんで、手に入れるのにかなり苦労しました。
希少なんで現在手に入れるにはオークションぐらいしかないんじゃないでしょぅか。
かく言う僕も、ヤフオクで手に入れました。
捨丸を知るにはこれが1番いいと思います。
大体どのCDでも、収録されている捨丸のネタは同じものです。
だから、ここには他のCDには収録されていないネタがたっぷりと詰まっています。
解説文もかなりマニアックな内容がぎっしりと詰まっています。
これはホンマに僕の宝物とも言える1枚です。

コメント (3)
  1. 松田 より:

    はじめまして。
    youtubeで砂川捨丸を知って、こちらにたどり着きました。こんな風にまとめてくださっていてありがたく拝見しました。捨丸春代、何とも言えないおかしみがあって、辛うじて知っている世代の母と聞いて笑っています。
    私は、ほぼyoutubeでその漫才に触れているのですが、レコードの音源では、だいたい終わりは「ははぁ、」「あぁ、」という感じで終わりますよね。一つだけ映像のものが見られるのですが、途中踊るところで扇で叩かれて、舞台ではこういうタイミングでつっこみがくるのか、と思いました。
    「萬歳の至芸」には、張扇の音が入っているネタはありますか?まずは「まんざい風雲録」を読んでみようかなと思います。

    今、芸能のお仕事はどなたも大変だとは思いますが、どうぞお体にお気をつけて、ご活躍の機会に備えてください。

    1. sutemaru より:

      コメントありがとうございます。
      張扇の音までは覚えていないですが、あまり出回っていない音源が多数入っていたと記憶しておりますので、ぜひ1度お聴きになってみてください。最近はYouTubeでもレコード音源をアップする人が増えてきたので、もしかしたらYouTubeに上がっているものもあるかも知れませんが。。

      1. 松田 より:

        さっそくお返事くださり、ありがとうございます。そうですか、やはり貴重な音源が多いのですね。ひきつづき、いろいろ聞いてみて、当時の芸能についてほとんど知らない私でも、なぜこんなに興味が湧くのか、自分なりに探ってみたいと思います。

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