万歳からのぞきからくりまで 狂言師が実演する放浪芸

数え唄

数え唄いろいろ

子供の頃のあの歌も…

数え唄」という言葉自体、あまりピンとこない時代になってしまいましたが、70年代生まれぐらいならならギリギリわかってもらえるんじゃないかと思います。
なぜかと言うと、めっちゃ有名な数え歌があるからです。
それはなんと…「いなかっぺ大将」!

はい、思い出していただけましたでしょうか?

ひとっつひっとよ~りちっから持ち~
ふたっつふ~るさっと後にして~
みっつ未来の大物だ~い

ってやつです。天童よしみの。
ああいう風に、1つ~みたいな感じの歌を数え唄と言うんです。
表記には、「数え歌」か「数え唄」か「かぞえうた」か色々あるんですが、個人的に演芸で使う分には数え唄が1番ピンときますので、ここではそれで統一したいと思います。

昔からの演芸での数え唄は、三味線の伴奏で、数に文句をつけて唄っていきます。
そしてネタは大きく分けて2種類あり、
一つは世の移り変わりや防火・防災を唄った普遍ネタ
もう一つはその時々の事件やニュースを扱った時事ネタです。
さらに、どうやら今でも言葉遊びとしてそういうのを作って楽しんでる人達がいるみたいです。
以前そういうサイトを見た覚えがあるのですが、失念してしまいました。

演者とネタ

数え唄と言えばこの人!

当然捨丸・春代もよく演じたのですが、忘れてはならない演者がもう一組います。
桜川末子松鶴屋千代八のコンビです。
特に桜川末子の唄はかなりのもので、「女捨丸」とまで言われた芸達者でした。
この2人の数え唄はかなりのスピード感があり、大体捨丸の数え唄の2~3倍位のスピード感で、しかも数が進むほどに加速します。「今と昔」というネタは内容も秀逸です。

しかし、引退後の桜川末子のインタビュー記事が雑誌「上方芸能」に載っているのですが、引退後わずか数年しか経っていないにも関らず、数え唄を所望するインタビュアーに対して「どうしても思い出せませんねん。」と答える様子には胸が痛みます。

運勢判断

捨丸のやっていた数え唄で手元にあるのは、「運勢判断」というやつです。
通常数え唄は、一つ、二つと数にそれぞれ文句を付けていくわけですが、これは珍しいパターンで、十二支それぞれに文句を付けていきます。これはかなり秀逸で、具体的には正月なんかに持ってこいですよね。しかも客は必ずどれかに当てはまるわけですから、非常に引き込みやすいものだったと思います。

例えば僕は未(ひつじ)なので、

春代 ポンあーあれま羊年ポン生まれポとンせんえー
捨丸 ポン憐れみふかくて品もありえー
     ポン取り越しえくろーのおくびょー者
    ポン雀のおならに驚いてー
    ポン家財家財を売り払う
    ポン慌てるくせが玉に傷
    ポン借りたお金は払わない
    ポンそれはあんたの性質じゃーえーえ

となるわけです。ちなみにポンというのは、捨丸の鼓の音です。
この場合は春代が羊(本当かどうか知りませんが)なので、こんな文句になってます(笑)

数え唄で忘れてはならないのが、桜川末子と松鶴屋千代八のコンビでしょう。
特に桜川末子の唄はかなりのもので、「女捨丸」とまで言われた芸達者でした。
この2人の数え唄はかなりのスピード感があり、内容も割と普遍的なもので、今聞いても非常に楽しめます。

さて、もう一つオマケを。
お笑い数え歌 内海桂子・好江