万歳からのぞきからくりまで 狂言師が実演する放浪芸

あほだら経

あほだら経の特徴

あほだら経は、阿呆陀羅経と書きます。
あほだらは上方語で、あほの強調語で、現在では「あほんだら」という使い方をします。
以下に前田勇編「上方演芸辞典」の説明をまとめておきます。

そもそも阿呆陀羅経は、乞食坊主が、世態・時事などに取材した戯れ文句を七七調ないし八八調で、経文訓読にまねて「仏説あほだら経…」という唄い出しで歌った俗謡。
銭数文をつないだのをY字形の小さな割竹に挟んだものを鳴らし、あるいはきわめて小さな二個の木魚を指間に挟み、これを叩いて拍子を取り、合いの手を入れながら早口に歌う。
街頭で演じ、または戸毎を回って米銭を乞うた。安永・天明ごろの発生。また、明治以降は寄席の色物となり、大阪松島の中島席や天満の吉川席などで盛んに演じられたとの事です。

あほだら経の木魚

これも今伝わっているものは、ないもの尽くしなどの尽しものが多いですが、昔は次々と新作が作られていたようです。
せっかくですので、以下に阿呆陀羅経の出だし部分を載せておきます。

 

あほだら経の詞章

仏説阿呆陀羅経―(ソラ阿呆陀羅経)
すなわちだんだん手枕やっかい
いたこ和尚がー唱えあげます諸芸の一座のお定まり
芝居で三番叟か相撲なら千鳥か祭文(さいもん)なればー
でれんのれんの法螺貝しらべか
浪花節なら入れごと枕か阿呆陀羅経とゆーやつは(ソラ)
はげた木魚を横ちょにかかえて朝から晩まで
親のかたきか遺恨のあるよにあちゃむきすかかこちゃむきすかか
すかすかばかばかばかげたお経にゃ間違いないわい(ソラ間違いないわい)